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    October 31

    カリムノス再訪 ギリシャ・クライミング ツアー

    今年の夏は慣れない畑仕事で疲れてしまい、とてもクライミングどころではなく、ぎりぎりまで このツアーを実現できるかどうか難しかった。
    あんなに元気だった母が父の一周忌の2週間後に急に病気で亡くなり、実家の百姓を引き継いだ私たちは毎週末、横浜から通うことになったのだ。

    暑い夏の草むしりは大変で、体も壊れたけれど、丹精込めて作った私たちの野菜は、どの野菜よりもおいしい。
    帰国したら、里芋やサツマイモの収穫だ。
    出発前に、お墓参りをした。

    10月2日、羽田発20時45分の便で関空へ飛ぶ。
    エミレーツと日航のシェア便は、成田空港まで行く手間が省けて楽だが、飛行時間が14時間でトランジットに6時間もかかる長旅だ。

    3日、アテネ着 14:00、さらにAegean Airlineに乗り継いでコス島に着いたのが17:15、マスティハリの港までタクシーを走らせ、高速艇でカリムノス島に渡り、ポティアの港でタクシーを拾って、めざすマスーリに着いたのが19:00、明るいうちに到着した。
    昨年はアテネからカリムノス島へ直接 飛行機で来たが、この直行便は数が少ないので欠航になったら大変で、くわえて風が強いと引き返すので、あてにならない。
     
    今回は便数の多いコス島に飛び、船でカリムノス島に渡るという安全パイを選んだが、大正解だったようだ。
    しかもめざすエーゲ海の島は、殺風景な飛行場よりも美しい港町へ船で入るほうが味わいがある。
     
    ピザ屋の向いの海に面したスタジオは、こぎれいで部屋もバルコニーも広く、景色を遮るものがなかった。
    ひと部屋35ユーロのところを30ユーロに勉強してもらったので早々に決めたが、町には20ユーロから17ユーロのスタジオもある。
    ただし部屋は狭く、景色もイマイチで、掃除等のサービスも悪くなる。

    10月はクライマーが多くなるので、ウォークインでスタジオを探すのは難しいかもしれない。
    不便だが、マスーリから離れた所にもスタジオがあるが、バイクが借りられたら問題ないかもしれない。
    でも、レンタルバイクにも数に限りがあることを考慮しなければならない。
     
    細長い町の真ん中にあるスブラキスーパーマーケットは改造して、名前も変わっていた。
    スブラキショップは2階にあったが、この時期店はクローズで、楽しみにしていたギロが食べられないのが残念だった。
    それでもスーパーの主のアドニスは元気で、私たちのことを覚えていてくれて、嬉しかった。
     
    10月4日、夕方、高台にある教会で、何組かの結婚式があった。ウェディングドレスの花嫁が長い階段を登っていくのが見えた。
    ギリシャ正教の黒い衣裳のシスターと地味な服を着た人々に、神聖な雰囲気を感じたが、しばらくして、突然の爆発音!

    花火にしては音が近すぎるし、こんなところでテロはないだろう。
    30秒から1分間隔で、10数発の轟音だ。

    アドニスに聞いたら、ダイナマイトだという。
    祝砲の代わりにダイナマイトだなんて!
     
    レストランに入ってからも、忘れた頃に、また破裂音。
    近くの席の赤ちゃんがびっくりして泣きだし、しばらく泣きやまなかった。

    あの厳かな結婚式とのギャップがすごい。
    1週間後に見た結婚式では、町の中をクラクションを鳴らして車を暴走させていたから、ダイナマイトが使えるのは裕福なほうかもしれない。
     
     
    5日、10:00頃、いきなり暗雲が立ち込め、突然のスコール。風も強い。
    Afternoonにいた私たちは、すぐさまGrand Grottaに逃げ込んだが、ずぶ濡れになってしまった。

    しかし、2時間後には嘘のように晴れわたり、クライミングが再開できた。
    その日以降、連日お天気にめぐまれた。
     
     
    マスーリは本当に静かな町だ。
    レスト日に、わざわざギロを食べにポティアへ出かけたが、その小さな港町でさえ、人と車が多くて疲れる。
     
    朝起きて、目の前のテレンドス島を眺めて、バルコニーで朝食をとって、歩いてクライミングエリアに行き、夕方になると部屋に戻ってビールを飲んで夕陽を楽しみ、暗くなったらレストランに出かけ、9時頃には就寝…
    食べて寝て、毎日がクライミングの単純な生活だが、そんな繰り返しの生活を誰が退屈だと言うだろう。
     
    クライミングもそうだが、何事もほどほどが良い。
    それが人生半ばを過ぎた私たちの哲学だ。

    しかし、百姓仕事でまったく登っていなかった割には、調子は悪くなかたと思う。
    7a+までパーフェクトだったし、7bのオンサイトも1本成功した。

    ただ、リーチ足らずで登れない6b+が1本あったが、こだわる必要は全くない。
    実動9日のクライミングで、アップを含めて70本以上登った。
     
    カリムノス島はクライマーに安らぎと楽しみを与えてくれるところだ。
    眼下に広がる穏やかなエーゲ海は、いつでも青く輝いている。

    ワインは安いし、ビールも安い。
    お料理も、まあまあイケてる。

    山羊のチーズは、昨年は全然だめだったけれど、今年は美味しいと感じたのはどうしてだろう。
    さんざん沖縄で山羊料理に慣らされたからだろうか?
    だが相変わらず、ギリシャのコーヒーは飲めたものではない。
     
    岩場で顔なじみになった外国人(我々も外国人だが)とも友達になれた。
    スコミッシュから来たカナダ人ご夫婦と、シアトルからきた中国人の女の子とは、とくに仲良しになり、来年の夏スコミッシュで登る約束をして、盛り上がった。

    I need to study English more !
    しかし英語もクライミングと一緒で、マスターするのがだんだん難しくなってきているのだが…
     
     
    レスト日に作ったカレーはとても美味しかったし、ご飯も上手に焚けた。
    来年は高野豆腐、シイタケで、煮物を作ってもいいかもしれない、などと話した。
     
     
    14日、最後のクライミングの日、昨夜見た夢を主人に話した。

    Grande BrottaのPriapos7c 登攀距離35メートルを登っている夢を見たと…
    グランドグロッタは西に面しているので、午後から日が当たる。

    太陽が傾いて気温が下がった16時過ぎ、夢にまで見たルートなんだから登ってみろと主人が云った。
    暗くなるから、1回だけのチャンス

    長大なオーバーハングなのでロワーダウンでのクイックドローの回収は、フォローするしかない。
    見上げても終了点のチェーンは全然見えない。

    ダメもとでクイックドロー23本下げてトライした。
    カバの連続と3-D Climbingで、長いだけで大した核心はないかも知れないと思ったが、半分も行かないところで、やはり核心部はあったのだ。

    ボルトが緩んでいてハンガーが回った。
    やっとの思いでロープをクリップして、テンションと叫んだ。

    見上げると、2本連続してボルトのハンガーが飛んでいる。
    さらにその上のボルトには、敗退用のマイロンが掛っている。

    いろいろ考えたが、私は行く!と自分に言い聞かせて、核心部を抜けてもまだ見えない終了点を目指した。
    オーバーハングを超え、垂直になったところにチェーンがあった。

     “You got it !”の文字と、ニコちゃんマークの落書きもあった。
    その後、主人がクイックドロー回収の重労働で、大奮闘したのは言うまでもないが、これで今年のカリムノスクライミングツアーは終わった。

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