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    October 11

    記録のないクラック

    煌々と月が輝いていた早朝4時、月明かりの中に富士山のシルエットがかすかに浮かんでいた。
     
    昨日の台風ですっかり雲は追い払われてしまったのだろう。
     
    こんなに透きとおって輝いた月を見たのは本当に久しぶりだ。
     
    白々と明けて変わり行く甲府・韮崎の空はまるでカリフォルニアにいるようだ。
     
    どこまでも青く山並みがくっきり流れて行く。
     
    回り目平には約束の8時に着いた。
     
    夏の盛りより多い人出で駐車場はいっぱいで、やっとスペースを見つけてパジェロをとめた。
     
    きょうはルート図に載っていない(完登の記録がない)クラックを、主人が登ってみるというのでついてきた。
     
    いつもジメジメしていて、なかなか取り付けないクラックだという。
     
    何があるか分からないのでハンマードリルや金ブラシなど開拓グッズを一式持ったから、ザックはかなり重くなった。
     
    アプローチ約20分の急登だが、何故かすごく寒い。
     
    しかも取り付きはトンネル状になったワイドクラックの向こう側から吹き抜けてくる風でとても寒い。
     
    クライマーも大変だがビレイヤーだって大変だ。
     
    後で分かったことだが、急激に発達した低気圧で冬型の気圧配置になってしまい、山や海では大量遭難が発生していたのだ。
     
    終了点に着くと、誰かが登って下降した形跡があったという。
     
    あまりにも古いスリングだったので補強して下降した。
     
    グレードは 5.10a あるかないかだというが、 真ん中から終了点までノーピンで超ランナウトするから危険である。
     
    早々に登攀を終え、いざ増富温泉へ
     
    わたしはうれしい。
    October 03

    小川山デビュー

    9月29日
    小川山に向かう早朝の移り行く風景は さわやかな秋の気配でいっぱいだ。
     
    鮮やかな赤や黄色の紅葉が色づき始め 山道には栗が落ちてコスモスが風に揺れていたりする。
     
    韮崎駅で二人をを拾い 風邪で来れなかった人には悪いが 初めての小川山をガマルートにする。
     
    突然の人数の変更だったのでヘルメットを用意できなかったが、平日だから まあ落石はないだろう。
     
    おしゃべりしながら壁の基部に着いた。
     
    「これ、登るんですか?」 と第一声
     
    「大丈夫、難しいのはここだけだから」とだまして取り付くが、二人は最後まで緊張しっぱなしだった。
     
    とくにグルーブの“ハイハイトラバース”は怖かったようだ。
     
    しかしガマのテッペンに立ったときは満面の笑みだった。
     
    今までこんなクライミングをした事がなかったので感慨深いものがあるのだろう。
     
    素敵な顔だ。
     
    こんなとき私はいつも幸せな気分になる。